こんにちは、えびかずきです。
今回は、Pythonのオンライン教材PyQをやってみた感想について書きます。
こんな人におすすめ:
・安いPythonの学習教材を探している。
・Pythonで機械学習を始めたい。
まず結論ですが、
PyQは月額約3千円と価格が安いわりに、思ったより内容はしっかりしていると感じました。
特にNumPy・Pandas・scikit-learnなど機械学習向けの教材が充実しています。機械学習を始めたいけどプログラミング経験がなくてなかなか最初の一歩が踏み出せないというような方におすすめです。
逆にPythonの知識がある程度あって、書籍や公式ドキュメントを読みながら自分でプログラムを実装できるような中級者以上にはおすすめできません。大半が復習になるか、わざわざコストをかけずとも情報収集できる程度の内容しかありません。この教材はあくまで初心者向けです。
運営面は割と良心的です。
興味のある学習コースにだけ取り組んで1ヶ月で退会するというような使い方も可能です。
私は1ヶ月で退会しましたが、退会手続きは簡単で再入会の催促などもありませんでした。
私のケース
- コースプラン:個人ライトプラン(¥3,040/月)
- 学習期間:1ヶ月(2020年8月10日~9月9日)
- 目的:Pythonの総合的な復習
時間のあるお盆休みに良い機会だと思ってPyQを開始。
私の場合は、Pythonの文法やライブラリをある程度把握していて、復習という目的のために取り組みました。
全力でひたすら取り組めば一週間くらいで終わるかなと思っていましたが、さすがに無謀でした。
結局お盆休み全部と仕事が始まってからもほぼ毎日やって、1ヶ月でギリギリ全部のクエストをクリアできました。
PyQの中身
料金コース
PyQのコースプランは個人で利用する場合、以下の2つです。(2020/8時点)
- 個人ライトプラン
- 個人スタンダードプラン
どちらも教材は同じで、違いはサポートのあるなしです。
まずは個人ライトプランで入会して、もしサポートを受けたくなったら個人スタンダードプランに変更すれば良いです。
学習コース
PyQの学習教材は全部で30個の学習コースからなります。
さらにそれぞれの学習コースの中にクエストと呼ばれる教材のセットが5〜10個程度入った構成となっています。
学習コースは下の通りですが、結構いろいろ揃っています。
それぞれのレビューは後で紹介します。
- チュートリアル
- はじめてのプログラミング
- Pythonはじめの一歩
- Python初級
- Python文法速習
- プロの所作
- Python中級
- 実務でのPython
- 標準ライブラリー
- Pythonチャレンジ
- データベース初級
- はじめてのWebアプリケーション
- Django入門
- Django初級
- Django中級
- データ収集とWeb API
- Jupyter Notebookと可視化
- 数学とアルゴリズム
- Pythonデータ処理初級
- Pythonデータ処理中級
- Pythonデータ処理実践
- NumPyデータ処理
- Python統計分析
- Python機械学習初級
- Python機械学習中級
- Python機械学習実践
- 数理的アプローチによる問題解決
- コラボレーション
- プログラミングことはじめ
- プログラミングはじめの一歩
クエスト
例えば、学習コース「Python初級」に以下のように7つのクエストが入っています。
クエストはさらに2〜8個くらいの小クエストに分かれていて、それぞれに数個の設問が準備されています。
設問
教材は下図のとおり、画面左側に説明があり、右側にエディタがあります。
エディタには自分でコードを入力してPythonを実行できます。
全体的な感想
良かった所
1.教材が充実している。
学習コースのラインナップを見てもわかる通り、教材がかなり充実しています。
内容としては、私がこれまで学習した書籍の中で言うと、以下3冊の書籍が総合されているような感じ。
単純に書籍代を合計すると11,000円くらいになります。
これと比較すると、PyQの教材はコスパが高いと言えます。
2.Python環境が整っている
Web上で既に外部ライブラリを含めたPython環境が整っているので、面倒な環境構築をすっ飛ばして本質的な学習をスタートできます。
悪かった所
1.写経が多すぎる
設問の大半が見本のコードを写経せよと言う内容です(感覚的には8割くらい)。プログラミング学習において写経は確かに重要だと思いますが、さすがに多すぎます。
クエストと銘打ちながら、見本コードをひたすら書き写す単純作業が続くのでモチベーションを保つのが大変です。
2.Web開発系は内容が薄い
Web開発向けのコースとして一応DjangoやFlaskの教材がありますが、内容はかなり薄く実用的でないと感じました。
Web開発は環境を自分で構築するところが最も重要なので、PyQの仕組み上、仕方のないところもありますが、中途半端に感じました。
おすすめの学習方法
私のように全てのクエストに取り組むのは、オススメしませんw
かなりの時間を消費しますし、なにより学習のモチベーションを保つのが大変で途中で心が折れてしまう可能性が高いです。
全クリした感想をブログに書こう!という目的がなければ、私は途中でやめていたと思います。
おすすめの学習方法は、
興味のある学習コース数個に全力で取り組んで1ヶ月以内に退会する
です。
このやり方がコスト的にも時間的にも、最も効率的な学習方法だと思います。
各学習コースのレビュー
ここからは各学習コースのレビューです。
学習コース選びの参考にしてください。
はじめてのプログラミング
プログラミング自体が初めての人向けの教材。
print,if文,for文, list,文字列操作など基本的な文法をやさしく丁寧に学べます。
『キューちゃん』『パイ先輩』という可愛いキャラが会話しながら解説していく形式になっていて、ストーリー性があります。
txtファイルの読み込みやrandomモジュールの使い方など、若干実用的な教材も入っていて勉強になります。
クオリティ高くておすすめだけど、プラグラミングとはなんぞやがわかっている人は飛ばしてOK。
Pythonはじめの一歩
Pythonを初めて触る人向けの教材。
printやif,listなど、少々『はじめてのプログラミング』の内容とかぶっている。
最後の『Pythonでミニゲームを作ろう』では。おみくじゲームとジャンケンゲームを作る。
Python初心者はこの学習コースから始めると良いです。
Python初級
Python文法の基礎を学ぶ学習コース。
関数、タプル、データ型、while、break、continueなど『Pythonはじめの一歩』では出てこなかった基礎的な内容を丁寧に学べる。
「初級のチャレンジ」では素数判定をする関数などを作る。
Python文法速習
Pythonがある程度わかっている人向けの速習コース。
アンパック、ラムダ式、ドキュメンテーション文字列など、荒く勉強した人が見落としがちな重要知識を説明している。
また、JSON形式、pickle形式などPythonでよく使うデータ形式の取り扱い方なども説明している。
丁寧にPythonを学びたい人におすすめ。
プロの所作・Python中級
『プロの所作』は、Pythonの公式ドキュメントを活用しながら、わからないことは自分で解決しながらプログラミング進めようという趣旨の学習コース。
Pythonの知識を全て頭に入れておくなどと言うことは不可能なので、必要に応じて自分で調べて解決できる能力をもってこそプロ。
『Python中級』では、より深くPythonを理解するためのクエストが並んでいる。
私自身デコレーターやオブジェクト指向でのクラスの継承などの知識に怪しい部分があったので、かなり勉強になった。
「中級のチャレンジ」ではトランプのブラックジャックゲームを作る。
実務でのPython
PEP8という標準的なコーディンク規約について学べたり、コードをテストするための知識が学べる学習コース。
Flake8はPEP8に準拠しているかどうかをテストするコードチェッカーのこと。
標準ライブラリー
Python標準ライブラリーの使い方が学べる学習コース。
どれも汎用性があって、是非学んでおきたい。
個人的にはosやreの使用頻度が高い。
Pythonチャレンジ
息抜き用のお手軽コース。
これまでの知識を使って、演習の解いていく。
リストを分割する関数を書いたりする。
まあ、気が向いたらやればいい。
データベース初級
SQLの基礎を学ぶためのコース。
Web開発をするならデータベースは避けては通れない。
とは言え、実務的には自分の開発環境に合わせて学習し直す必要があるので、ここでは基礎を学ぶと言うよりかは、雰囲気を知るくらいの目的に留めておいた方が良いと思う。
はじめてのWebアプリケーション
FlaskとDjangoでWebアプリ制作を学べるコース。
正直ここは、あまりおすすめしない。
なぜならWebアプリは自分で実際に環境を構築してみないと実力がつかないと思うから。
それにもしWeb開発やったことない人が環境が構築された中で、いきなり細かいDjangoの使い方を説明されても意味がよくわからないと思う。
このコースはDjangoがある程度使えて、復習のために学習したいという人ならば、意味があると思う。
Djangoの入門なら下の書籍がおすすめです。
動かして学ぶ! Python Django開発入門 (NEXT ONE)
データ収集とWeb API
スクレイピングとAPIを学ぶ学習コース。
Requestsというライブラリーを使って簡単なWebスクレイピングを実行したりScrapyというライブラリーを使ってクローラーを作ったりする。
APIは、すでに準備されているAPIを活用して、その概念を学ぶ。
Jupyter Notebookと可視化
Jupyter Notebookの使い方を知れるコース。
かなりおすすめ。
今までMarkupモードの存在を知らなかったのだけど、このコースで基礎から全体像を掴めてとても良かった。
インタラクティブ操作は、スライダーなどを使って視覚的にGUIを作れて便利です。
こんな感じ↓
数学とアルゴリズム
mathライブラリーの使い方が学べたり、基本的なアルゴリズム構造が学べたりする学習コース。
個人的には、再帰アルゴリズムの例示に「ハノイの塔」を使って欲しかった。
Pythonデータ処理初級・中級・実践
Pandasの使い方を学べるコース。
Pandasは表データの分析が得意な外部ライブラリ。
Pythonでデータ分析したい人にとって必修のコースです。
基礎から丁寧に学べるのでおすすめです。
Numpyデータ処理
Numpyによるデータ処理を学ぶ学習コース。
は機械学習で使うし、PyQでは教材が用意されていないが、流行りのディープラーニングでも多用するライブラリー。
乱数発生、ブロードキャスト、行列演算などNumpyの基本的な操作が学べる。
機械学習やデータ分析したい人にはおすすめ。というか必須。
Python統計分析
統計分析のコース。
おすすめだけど、もし統計の知識ゼロで挑むとちょっと厳しいかも。
このコースでは実用的な方法論を学んで、仮説検定などの背景については別の書籍などでじっくり理解した方が良いと思う。
統計は下の書籍がおすすめ。
Python機械学習初級・中級・実践
機械学習を学べるコース。
scikit-learnを使って機械学習のやり方を学べるコースで、PyQの中で最もおすすめです。
ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、K-means、線形回帰、モデル式による非線型回帰が学べます。
どれも機械学習の基礎的な内容です。
scatter_matrixでの相関整理は、カッコ良くて好き。
数理的アプローチによる問題解決
問題解決をするための学習コース。
特にグラフ理論が面白かった。
NetworkXというライブラリーでグラフ理論を応用し、適化問題を解いたりする。
コラボレーション
さまざまな書籍とコラボレーションしたクエストが並ぶ学習コース。
特別目新しいクエストはないため、あまりおすすめではない。
プログラミングことはじめ・はじめの一歩
最後の最後になぜか超初心者向けの教材です。
最初の学習コースの『はじめてのプログラミング』とも内容がかぶっていますし、この学習コースは正直やる必要ないです。
まとめ
今回はPythonのオンライン学習教材『PyQ』を全クリアした感想を書きました。
結論、『PyQ』はコスパが高くておすすめです。
初学者の方も復習のために勉強をやり直したいと言う方も、『PyQ』にトライしてみてはいかが?
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